売春とは?買春との違いと処罰される行為・警察対応を解説
2026/09/29
売春とは、金銭などの対価を受け取り、または受け取る約束をして、不特定の相手と性交することです。対価を支払う側の行為は、一般に買春と呼ばれます。売春防止法は双方の行為を禁止していますが、売春そのものの禁止規定と、刑事罰の対象となる行為は区別して理解する必要があります。
売春そのものに直接の罰則がないことは、周辺の行為まで処罰されないという意味ではありません。勧誘、周旋、場所の提供などには罰則があり、相手が18歳未満の場合には児童買春の問題も生じます。ネット上の短い説明だけで、自分の行為が処罰対象かどうかを判断することは避けましょう。
この記事では、売春の定義と買春との違い、処罰される周辺行為、児童買春との区別を整理します。警察から連絡を受けた場合や逮捕された場合の対応についても、刑事手続きに絞って説明します。
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目次
売春とは何か?定義と買春との違い
日常会話では、金銭を伴う性的な行為全般を売春と呼ぶことがあります。しかし、刑事事件として検討するときは、どの規定がどの行為を対象としているかを確かめる必要があります。売春防止法上の売春と、児童買春や刑法上の性犯罪では、要件が同じではありません。
対償・不特定の相手方・性交という要件
売春防止法第2条の定義は、対償を受け、または受ける約束で、不特定の相手方と性交することです。ここでいう対償は、性交の見返りとなる利益を指します。現金を受け取ったかどうかだけで判断せず、何のために利益を渡す約束をしたのかを確認します。
| 確認する要素 | 内容と注意点 |
| 対償 | 性交の見返りとなる利益です。現金以外の財産上の利益も問題となります。 |
| 受領または受領の約束 | 実際に受け取る場合のほか、受け取る約束をして性交する場合も含まれます。 |
| 不特定の相手方 | 相手との関係や、対償次第で相手を選ばず応じる状況などから判断します。 |
| 性交 | 同法でいう性交を指し、他の性犯罪で使われる性交等と範囲が同じとは限りません。 |
売春防止法の性交は、一般に男女の性器の結合を意味し、性交類似行為まで当然に含むものではありません。刑法上の性交等とは対象となる行為の範囲が異なります。ただし、同法の定義に当てはまらない性的行為であっても、児童買春や不同意わいせつなど、別の犯罪が成立する可能性があります。
不特定という言葉も、相手の氏名を知らないという意味だけではありません。知人との行為であっても、関係の実態や条件の提示方法などによって判断が変わります。反対に、知り合った手段がSNSだったという事情だけで、売春に当たると断定することもできません。
食事や交際に伴って金品を渡したという説明だけでは、性交の対償だったかどうかは分かりません。約束の内容や前後のメッセージなどを含めて検討します。交際していた、謝礼と呼んでいたなどの呼び方だけで、刑事責任の有無が決まるわけではありません。
売る側と買う側の呼び方を区別する
売春と買春は、同じやり取りを異なる立場から表す言葉です。基本的な使い分けは次のとおりです。
- 売春は、対償を得て自らの身体を提供する行為を指します
- 買春は、対償を支払って相手に性交を行わせる行為を指します
売春防止法第3条は、売春をすることも、その相手方となることも禁止しています。一方で、この禁止に違反したという理由だけで当事者を直接処罰する規定は設けられていません。この点を説明する際は、禁止されていることと、刑罰が定められていることを分けて考えることが大切です。
また、売春や買春という呼び方から、売る側は必ず女性、買う側は必ず男性と決めつけないようにします。ただし、行為が各規定の対象になるかは、性別だけではなく、行為の内容や相手の年齢などの要件に即して検討します。
風俗営業の届出は売春を認めるものではない
性風俗関連の営業に関する規制と、売春防止法の規制は別のものです。営業に必要な届出などを済ませていても、それによって売春が認められるわけではありません。店舗で提供されるサービスだから、店の説明に従ったからという理由だけで、刑事上の問題がなくなることもありません。
店側が売春を認識して場所を提供したり、人を居住させて売春を業として行わせたりすれば、それぞれの要件に応じた犯罪が問題となります。形式的に禁止する規則を置いていることだけで処罰を免れるとはいえず、実際の営業や指示の内容が重要です。
刑事罰の対象となる周辺行為と児童買春
売春そのものに直接の罰則がない場合でも、その前後の行為には別の処罰規定が適用されることがあります。自分が性交の当事者かどうかにかかわらず、相手を紹介した人、場所を提供した人、売春をさせる仕組みを作った人の行為も検討の対象になります。
公衆の目に触れる勧誘や客待ち
売春防止法第5条は、売春をする目的で行う一定の勧誘や客待ちなどを処罰対象としています。公衆の目に触れる方法で相手となるよう勧誘する行為や客待ち、広告などによる誘引、勧誘のために公共の場所で人に立ちふさがったり、つきまとったりする行為が含まれます。
そのため、性交や対価の受け渡しに至っていなくても、勧誘などの行為によって犯罪が成立する場合があります。一方で、路上で立ち止まったことやスマートフォンを見ていたことだけを取り上げて、直ちに違反だと断定するのは適切ではありません。売春をする目的や、具体的にどの行為があったかを検討する必要があります。
SNSでの投稿や連絡についても、利用したサービスの種類だけで結論は決まりません。投稿の公開範囲、文面、相手への働きかけなどによって、どの規定が問題になるかが変わります。個別のやり取りと、公に相手を募る行為を一律に扱わないことが大切です。
周旋や場所の提供
第6条の周旋とは、売春をする側とその相手方の間に入り、売春を取り持つことです。対面で紹介する場合に限らず、SNSなどを通じた仲介でも問題となります。紹介料を受け取っていないことだけで、必ず処罰対象から外れるわけではありません。
ただ知人を紹介したという説明と、実際に性交の条件や相手の選定に関与した場合とでは、確認すべき事情が異なります。誰が条件を伝えたか、どのような意図で両者をつないだかなどを整理します。犯罪の成立や処分は、紹介の回数だけで決まるものではありません。
第11条は、売春が行われることを知って場所を提供する行為を対象としています。提供者が施設の経営者であるか、部屋を使わせた個人であるかだけでは決まりません。売春への認識や提供の実態が重要であり、業として行う場合には別の加重された規定があります。
単に宿泊施設を利用した人がいたというだけで、施設側の犯罪が当然に成立するわけではありません。また、継続的に利益を得ているかどうかは検討事項になりますが、場所提供が一度であれば問題にならないという意味でもありません。
売春をさせる契約や管理する行為
第10条は、人に売春をさせる内容の契約を対象としています。また、いわゆる管理売春に関する第12条は、人を自己の占有・管理する場所や指定する場所に居住させ、売春をさせることを業とする行為を対象としています。契約をする行為、対償を受け取る行為、居住させて売春を業として行わせる行為では、適用される条文が異なります。
生活費などの名目で利益を与えて売春をさせる場合や、脅しなどで従わせる場合にも、それぞれの規定が問題となります。金銭の管理、居住先の指定、指示の内容など、関与の仕方に即して確認します。単に売上を受け取ったという一つの事情だけで、どの罪が成立するかを決めることはできません。
18歳未満を相手とする児童買春
児童買春は、売春防止法上の売春とは別の要件で処罰されます。18歳未満の児童本人や仲介者などに対価を渡し、または渡す約束をして、その児童に対して性交等をする行為が対象です。児童の同意があったというだけで、処罰を免れるわけではありません。
対象となる行為は性交に限らず、性交類似行為や、一定の目的で児童の性器等に触れる行為なども含まれます。また、不特定の相手方であることは児童買春の要件ではありません。何度も会っていた相手であっても、対価と性的行為の関係が問題となります。
相手の年齢を知らなかったという主張については、年齢に対する認識が検討されます。18歳未満かもしれないと認識し、それでも構わないと考えて行為に及んだ場合には、未必の故意が問題となることがあります。ただし、年齢確認の記録がないことや相手の外見だけで、直ちに故意が認定されるわけではありません。
プロフィールや本人の説明だけを切り取らず、年齢についてどのようなやり取りがあったかを確認します。警察から連絡があった場合に、相手へ説明の変更を求めたり、口裏を合わせたりすることは避けてください。実際の認識と、それを裏付ける資料を整理する必要があります。
警察から連絡を受けた場合と逮捕後の対応
警察からの連絡には、被疑者として事情を聞く場合も、参考人として確認する場合もあります。連絡を受けただけで逮捕や有罪が決まったわけではありません。まず、連絡先、担当者、用件、自分がどのような立場で話を求められているのかを確認しましょう。
任意の呼び出しと強制的な手続きを区別する
逮捕・勾留されていない被疑者は、原則として任意の出頭を断ったり、出頭後に退去したりできます。任意の呼び出しに応じなかったという事情だけで、必ず逮捕されるわけではありません。逮捕には犯罪の疑いや必要性などの要件があり、事件の事情に基づく判断が必要です。
一方で、連絡を放置して状況を把握できないままにすると、対応を検討する機会を失います。出頭の日時を調整したい場合や、用件が分からない場合には、その旨を伝え、必要に応じて弁護士に相談しましょう。取調べで何を説明するかについても、分かっている事実と不確かな記憶を分けて準備します。
通信履歴を保全し、調書の内容を確認する
SNSのやり取りや送金の記録などは、行為の内容や認識を確認する資料になります。不利だと感じた部分だけを削除したり、都合のよい形に書き換えたりせず、そのまま保全してください。削除データが必ず完全に復元されるとはいえませんが、相手側の端末などに記録が残っている場合もあります。
取調べでは、自己の意思に反して供述する必要はありません。覚えていないことを推測で埋めず、質問の意味が分からなければ確認します。黙秘権を行使するか、どのように事実を説明するか迷う場合は、弁護士に相談できます。
供述調書を示されたときは、実際に述べた内容や意図が正しく記載されているか確認します。誤りがあれば訂正を求め、納得できない内容への署名押印を断ることもできます。署名した調書が常に絶対的な証拠となるわけではありませんが、後の手続きに影響する資料として慎重に確認することが大切です。
逮捕後の流れと弁護士への相談
警察官に逮捕された場合、警察は原則として逮捕から48時間以内に、釈放するか、身柄を検察官に送る手続きをします。検察官は身柄を受け取ってから24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に、勾留請求や起訴、釈放の判断をします。この時間は、必ず勾留が決定するまでの時間という意味ではありません。
裁判官が勾留を認めると、通常は勾留請求の日から10日間、やむを得ない事情がある場合にはさらに10日間以内の延長が認められることがあります。逮捕と勾留は異なる手続きで、事件ごとに要件の確認が必要です。家族との面会や連絡には制約があるため、弁護士との接見を求め、状況と権利について説明を受けることが役立ちます。
弁護士は、疑われている行為と資料を検討し、取調べへの対応や身柄拘束の必要性について意見を述べるなどの活動をします。不起訴となれば、その処分によって有罪判決が確定することはありませんが、相談しただけで不起訴や釈放が保証されるわけではありません。事件の内容に沿った対応を早い段階で検討することが大切です。
脅迫や暴力によって売春を強いられている場合や、金銭を要求されている場合は、被害の状況も相談してください。自分も処罰されるのではないかという不安から一人で対応せず、脅しの文面などを保全し、警察や弁護士に事情を伝えましょう。身の危険があるときは、安全の確保を優先してください。
この記事を書いた理由
著者 - Tifa法律事務所
本記事は生成AIによる自動作成ではなく、当事務所が性犯罪・刑事事件の弁護現場で培ってきた実践的な知見と対応経験に基づき作成しています。
刑事事件に注力する弁護士としてご相談を受ける中で、「売春そのものには罰則がないとネットで読んだ」と誤信し、重大な事態に陥ってから駆け込まれるケースが後を絶ちません。現場では、単純売春という認識であっても、路上での客待ち行為やSNSを通じた仲介・場所提供を理由に捜査機関から追及されたり、相手が18歳未満であったために児童買春として突然身柄を拘束されたりする事案に直面します。特に、警察からの出頭要請を安易に放置した結果、逮捕状が請求されて逮捕直後の48時間や勾留までの72時間という極めて重要な初期段階を不利な状況で迎えてしまうという、間違った初動による事態の悪化は深刻です。
インターネット上の表面的な情報を鵜呑みにして、取り返しのつかない不利益を被る方を一人でも減らし、適切な法的戦略や早期釈放、不起訴処分の獲得に向けた正しい行動基準を速やかに把握していただくため、本記事をまとめました。
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