売春防止法で買う側も処罰される?禁止行為と捜査への対応を解説
2026/10/29
「売春防止法では買う側は処罰されない」という説明を見て、どのような行為でも問題がないと考えていないでしょうか。売春防止法は売春をすることと、その相手方になることを禁止しています。一方、その禁止規定自体には直接の罰則がなく、公然の勧誘や周旋などに刑罰を定めています。この違いを理解することが、刑事責任を考える出発点です。
ただし、売春防止法の罰則に当たらない場合でも、相手の年齢や行為の状況によって、児童買春や不同意性交等の罪が問題になることがあります。警察から連絡を受けたときには、どの行為について、どのような立場で説明を求められているのかを確認する必要があります。
この記事では、売春防止法における禁止と処罰の違い、買う側を含めて刑事責任が問われる場面、職務質問や取調べへの対応を整理します。逮捕されるかどうかや処分の見通しは、個別の事実と証拠によって異なります。断片的な情報だけで判断せず、具体的な状況を整理するために役立ててください。
Tifa法律事務所は、刑事事件に特化した法律事務所として、相談者様一人ひとりの状況に寄り添いながら最適な法的サポートを提供しております。任意捜査の段階から逮捕・勾留、公判対応まで、刑事事件のあらゆる場面において迅速かつ丁寧に対応いたします。また、事件解決後の更生支援にも力を入れ、相談者様が安心して新たな一歩を踏み出せるよう支援しております。Tifa法律事務所には刑事事件に精通した弁護士が在籍しており、権利と利益を守るための最善の弁護活動を行います。刑事事件に関する不安やお悩みを抱えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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目次
売春防止法の仕組みと処罰される行為
売春の定義と禁止規定を区別する
売春防止法第2条は、対償を受け、または受ける約束で、不特定の相手方と性交することを売春と定義しています。実際に金銭を受け取った場合だけでなく、受け取る約束がある場合も含まれます。やり取りの呼び方だけで判断するのではなく、対価と性交の関係や、相手方との関係などを確認します。
第3条は、売春をすることと、その相手方となることをいずれも禁止しています。しかし、第3条への違反そのものを処罰する規定はありません。成人間の売買春について「罰則がない」と説明されるのは、この禁止規定に直接の刑罰が結び付いていないためです。売春が認められているという意味ではありません。
同法は、売春を助長する行為などを処罰することで、売春の防止を図る仕組みになっています。売る側か買う側かという立場だけでなく、勧誘、仲介、場所の提供など、実際に何をしたかが問題になります。性交そのものへの罰則がないことを理由に、周辺の行為も処罰されないと考えることはできません。
公然の勧誘や客待ちと周旋の違い
第5条は、売春をする目的で行う公然の勧誘や客待ちなどを処罰します。公衆の目に触れる方法で相手方を勧誘する行為のほか、勧誘のために道路などで人に立ちふさがったり、つきまとったりする行為も対象です。広告などによる誘引についても規定されています。
路上に立っていたという事情だけで、直ちに客待ちの罪が成立するわけではありません。売春をする目的があったか、どのような言動をしたか、公衆の目に触れる方法だったかなどを、証拠に照らして検討する必要があります。警告を受けた経歴があっても、それだけで今回の犯罪が成立するものではありません。
第6条の周旋は、売春が行われるように当事者の間を取り持つ行為です。相手を紹介して条件を取り次ぐなど、仲介した内容が問題になります。紹介料を受け取っていないことだけで、処罰されないと判断することはできません。単に知人を紹介した場合と、売春を成立させるために仲介した場合を区別して考えます。
強要や場所提供なども別の処罰対象になる
売春防止法には、人を欺いたり困惑させたりして売春をさせる行為、脅迫や暴行によって売春をさせる行為などの罰則もあります。売春による対価を受け取る行為についても、誰が、どのような経緯で受け取ったかに応じた規定があります。単に売上の一部を受け取ったという説明だけで、適用条文を決めることはできません。
| 主な行為 | 関係する条文 | 確認する内容 |
| 公然の勧誘や客待ち | 第5条 | 売春の目的、勧誘の方法や場所 |
| 売春の周旋 | 第6条 | 当事者間で取り持った内容 |
| 困惑や脅迫などによる売春 | 第7条 | 働きかけと売春に至る経緯 |
| 場所の提供 | 第11条 | 売春が行われると知っていたか |
| 売春をさせる業 | 第12条 | 居住させて売春をさせる営業の実態 |
いわゆる管理売春として説明される行為では、第12条の要件を確認します。第8条は対償の収受等に関する規定であり、条文番号を取り違えないよう注意が必要です。また、第9条は売春をさせる目的での前貸しなど、第10条は売春をさせる契約を規制しています。
場所を貸す場合には、売春が行われることを知っていたかが重要です。一般的な部屋の貸し借りがすべて犯罪になるわけではありません。第13条の資金等の提供も、対象となる営業とその認識について要件が定められています。性風俗に関連する融資だから一律に処罰されると説明するのは適切ではありません。
買う側に刑事責任が生じる場面と情報の確かめ方
児童買春は売春防止法とは別に検討する
相手が18歳未満の場合、対価を供与し、または供与を約束して行う性交等は、児童買春の罪に該当する可能性があります。児童買春の対象となる行為の範囲は、売春防止法にいう性交と同じではありません。売春防止法の定義に当てはまらないことだけを理由に、児童との性的行為が処罰されないと判断することはできません。
相手が年齢を偽っていた場合でも、その説明だけで刑事責任の有無が決まるわけではありません。年齢についての認識は、メッセージの内容や会ったときの事情などから検討されます。年齢を知らなかった場合と、児童である可能性を認識しながら行為に及んだ場合では、判断に関わる事情が異なります。
見た目やプロフィールの記載だけで年齢を決めつけることは避けてください。捜査を受けた場合は、相手がどのように説明していたか、自分が何を確認したかを、残っている記録に沿って整理します。記録にない年齢確認をしたことにするなど、事実と異なる説明を加えてはいけません。
金銭の支払いが性的行為への同意を意味するわけではない
対価を支払った場合でも、相手の自由な意思を無視して性的行為をしてよいわけではありません。暴行、脅迫、アルコールの影響などにより、同意しない意思を形成し、表明し、または全うすることが困難な状態にさせたり、その状態に乗じたりした場合には、不同意性交等罪などが問題になります。
会うことや金銭を受け取ることへの同意と、個々の性的行為への同意は区別する必要があります。相手が断った場合や、自由に意思を示せない状態にある場合に、支払いを理由に行為を続けることはできません。刑事事件として争いになったときは、行為の前後の状況を含む具体的な事実が検討されます。
SNSで知り合った場合も、やり取りを「交際」や「パパ活」と呼んでいることだけで適用される規定が決まるものではありません。対価の趣旨、年齢、性的行為に至った経緯を分けて確認します。相手との認識が違うときも、口裏を合わせるよう求めず、保存された記録をもとに弁護士へ相談してください。
条例違反や法改正を一律に断定しない
路上で声をかけた買い手が、必ず迷惑防止条例違反になると説明することはできません。条例は、対象となる行為や場所、目的などがそれぞれ異なります。客引きの規制が、そのまま買う側のすべての声かけに適用されるとは限りません。問題とされている言動と、適用が疑われる規定を個別に照合する必要があります。
法改正についても、検討中の提案、成立した規定、実際に施行されている規定を分けて確認します。報道や検討資料に新しい処罰の提案が書かれていても、それだけで処罰対象が変わったとはいえません。成立の有無や施行時期を確かめずに、買う側の勧誘がすでに一律に処罰されると判断しないことが大切です。
過去の行為について相談する際は、いつ行ったかを正確に伝えてください。行為時に適用される規定や、改正に伴う取扱いの確認に必要です。「最新」という見出しだけを頼りにせず、説明がどの時点の制度を扱っているのかも確認しましょう。
脅迫や恐喝を受けたときは安全確保を優先する
性的なやり取りの後に、家族や勤務先へ知らせるなどと脅され、金銭を要求された場合は、脅迫や恐喝に当たる可能性があります。自分の行為にも問題があるかもしれないという不安から、誰にも相談できなくなることがありますが、相手の要求に従えば解決するとは限りません。
身に危険が迫っているときは、安全な場所へ移動して警察に助けを求めてください。要求のメッセージや着信記録、送金の記録などは削除せずに残します。相手を問い詰めたり、単独で会いに行ったりせず、刑事事件としてどのように対応するかを警察や弁護士へ相談してください。
警察から連絡を受けたときと逮捕後の対応
任意の求めか強制の手続かを確認する
警察から連絡が来たら、担当者、所属、連絡先、説明を求める用件を確認します。被疑者としての呼び出しか、参考人としての事情聴取かによっても、確認すべき内容が変わります。電話口で記憶が曖昧なまま詳しい説明を続けず、必要に応じて弁護士に相談してから対応します。
職務質問や任意同行は、逮捕と同じものではありません。応じるかどうかを判断する前に、任意の求めであるか、自分がどのような状況に置かれているかを確認してください。逮捕状がないことだけで、すべての手続を拒めるわけではありません。現行犯逮捕など、令状を要しない場合もあります。
スマートフォンの提出や内容の確認を求められた場合も、任意の協力を求められているのか、捜索・差押えなどの手続なのかを確認します。令状がある場合には、その対象や範囲を確認し、疑問点を弁護士に伝えます。令状がないという理由だけで、あらゆる捜索や差押えができないと決めつけるのは適切ではありません。
記録を保全し供述調書の内容を確かめる
捜査への不安があっても、メッセージを削除したり、端末を初期化したりしてはいけません。自分の説明を裏付ける情報まで失う可能性があります。相手や関係者に連絡して説明を合わせる行為も避けてください。記録は都合のよい部分だけを切り取らず、前後の流れが分かる形で整理します。
- SNSやマッチングアプリに残された過去の売買春に関する交渉ログ
- 銀行アプリや電子決済サービスによる現金の送金・着金履歴
- 写真フォルダに保存されたプライベートな画像や位置情報の履歴
これらのうち事件に関係する記録について、何が残っているかを確認します。他人のアカウントへ無断でアクセスして資料を集めるのではなく、自分が適法に保有する記録を扱ってください。公開の場へ投稿せず、弁護士に保存方法や必要な範囲を相談します。
被疑者には黙秘権があり、自分の意思に反して供述する必要はありません。話す場合には、覚えている事実と推測を分け、不明な点を無理に埋めないことが大切です。早く帰りたいという理由で事実と異なる内容を認めることは避けてください。
供述調書を示されたら、発言の趣旨が正しく反映されているか、読んだり読み聞かせを受けたりして確認します。誤りや不足があれば訂正を求め、納得できない内容に署名押印する必要はありません。署名を拒んだことと、犯罪を認めたことは別です。対応に迷った場合は、弁護士への相談を求めてください。
逮捕と勾留と処分はそれぞれ別の判断になる
逮捕後は、警察から検察官への送致や釈放の判断が行われ、引き続き身柄を拘束する必要がある場合には、検察官が裁判官へ勾留を請求します。裁判官は犯罪の疑いだけでなく、逃亡や証拠隠滅のおそれなども踏まえて判断します。逮捕された全員が勾留されるわけではありません。
弁護士との接見は、取調べへの対応や身柄の手続を相談する機会です。弁護士には、住居、仕事、健康状態、家族などの協力の見込みを正確に伝えます。弁護士は事案に応じて、身柄拘束の必要性を争い、勾留決定への不服申立てなどを検討します。相談や選任によって釈放が保証されるものではありません。
釈放されても捜査が終わるとは限らず、在宅で手続が続くことがあります。また、逮捕だけで前科が付くわけではありません。不起訴は刑事裁判へ起訴しない処分であり、起訴された場合も裁判所が有罪か無罪かを判断します。被害者との示談が問題になる事件でも、成立すれば必ず不起訴になるというものではありません。
家族や勤務先への影響が心配な場合は、弁護士に連絡方法や必要な説明の範囲を相談できます。ただし、捜査上の照会や報道などを含め、周囲に一切知られずに終わることは保証できません。結果を断定する説明に頼らず、疑われている行為、残っている証拠、現在の手続を整理して対応を考えてください。
この記事を書いた理由
著者 - Tifa法律事務所
本記事は、売春防止法における禁止と処罰の違いを整理し、警察から連絡を受けた本人や家族が、疑われている行為と手続きの状況を確認して相談できるように作成しました。
「買う側には罰則がない」という説明だけで、関係するすべての行為に刑事上の問題がないと判断することはできません。売春防止法の禁止規定と個々の罰則に加え、相手の年齢や行為の状況に応じて、別の法律や条例が問題となる場合があります。どの行為について説明を求められているのかを確認し、適用が疑われる規定と具体的な事実を分けて整理することが大切です。
供述調書への署名押印や、相談までに時間がかかったことだけで、逮捕・勾留や刑事処分が決まるわけではありません。調書を示された際は内容を確認し、誤りがあれば訂正を求め、納得できないまま署名押印しないようにしましょう。既に署名した場合も、内容の正確さや作成時の状況について弁護士に相談できます。関係する記録を削除・改変せず、覚えている事実と推測を分けて伝えることが重要です。
逮捕後の送致や勾留請求には法定の時間制限があるため、早期の相談が役立ちます。ただし、勾留請求までの時間制限と、裁判官が勾留を決定する時期は異なり、弁護士への依頼によって身柄解放や不起訴が保証されるものでもありません。法改正に関する情報も、検討中の提案と施行されている規定を区別する必要があります。断片的な情報や結果を断定する説明に頼らず、個別の事情に合った対応を検討していただくために、本記事をまとめました。
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